交際費の使いすぎ、個人事業主の目安は?
2026年10月28日 / 出典は国税庁の公表資料(ページ下)
個人事業主の交際費には、法人のような金額の上限がありません。よく話題になる「5,000円」「1万円」「800万円」は、どれも法人税の規定です。そのうえで「どのくらいが普通か」を国税庁の統計で見ると、交際費は売上の0.2〜0.7%ほどです(法人の平均)。この記事では、上限の有無、統計の数字、売上別の金額を順に見ていきます。
個人事業主の交際費に上限はある?
所得税で必要経費にできるのは、売上を得るために直接かかった費用と、販売費・一般管理費その他の業務上の費用です(国税庁 タックスアンサー No.2210)。ここに交際費の金額の上限は出てきません。取引先との会食や贈り物も、業務のための支出なら必要経費の対象です。
検索でよく一緒に出てくる数字は、法人税の「交際費等」の規定です(タックスアンサー No.5265、対象税目は法人税)。
| 数字 | 中身 | 誰の規定か |
|---|---|---|
| 1人1万円以下 | 飲食費を交際費等から外せる基準(令和6年3月31日以前の支出は5,000円以下) | 法人 |
| 年800万円 | 資本金1億円以下などの法人が、交際費等を損金にできる定額の限度 | 法人 |
個人事業主の場合に問われるのは、金額の大きさより「業務のための支出か」です。私的な支出(家事上の費用)は必要経費になりません(No.2210)。
国税庁の統計で見る、交際費は売上の何%か
個人事業主の交際費だけを集計した国の統計は、この記事を書いた時点で見つけられませんでした。いちばん近いのは、国税庁が法人の申告をもとにまとめている「会社標本調査」です。令和6年度分では、営業収入10万円あたりの交際費等は次のとおりでした。売上に対する割合に直して並べます。
| 区分 | 営業収入10万円あたり | 売上に対する割合 |
|---|---|---|
| 法人全体 | 242円 | 0.24% |
| 資本金1,000万円以下の法人 | 742円 | 0.74% |
| 建設業 | 732円 | 0.73% |
| 不動産業 | 619円 | 0.62% |
| 料理飲食旅館業 | 551円 | 0.55% |
| サービス業(情報サービス・専門サービス・理美容・教育などを含む) | 529円 | 0.53% |
| 小売業 | 180円 | 0.18% |
規模の小さい法人ほど割合は高く、資本金1,000万円以下では0.74%です。個人事業主に近いのはこの区分と考えられます。ただし法人の数字なので、個人事業主の平均とは同じではありません。
売上別に計算すると、年にいくらか
上の割合を、売上の規模ごとの年間の金額(円)に直しました。検索でよく見かける「売上の3%」も並べます(3%については、出典になる統計を確認できませんでした)。
| 売上 | 0.24% 法人全体 | 0.53% サービス業 | 0.74% 資本金1,000万円以下 | 3% |
|---|---|---|---|---|
| 500万 | 1.2万 | 2.6万 | 3.7万 | 15万 |
| 800万 | 1.9万 | 4.2万 | 5.9万 | 24万 |
| 1,000万 | 2.4万 | 5.3万 | 7.4万 | 30万 |
| 2,000万 | 4.8万 | 10.6万 | 14.8万 | 60万 |
統計の平均と「3%」では、4〜12倍ほどの開きがあります。平均は上限ではないので、平均を超えたから経費にできないわけではありません。ただ、平均から大きく離れているほど、1件ずつ中身を説明できるようにしておく意味は大きくなります。
自分の交際費が売上の何%で、同じ業種の平均の何倍かは、経費率と交際費の割合を同業の平均と比べるページで計算できます(無料・登録なし、入力した数字は送信しません)。
使いすぎかどうかより、1件ずつ説明できるか
税務調査では、選ばれたあとに個々の経費について「誰と、何のために使ったか」を聞かれます(税務調査でAIは何をしているのか?)。交際費で答えの材料になるのは、帳簿の摘要と、残しておいた領収書です。
法人が1人1万円以下の飲食費を交際費等から外すときは、次のような事項を書いた書類の保存が求められます(No.5265)。個人事業主が交際費の記録を残すときも、これを書いておけば「誰と、何のために」に答えられます。
- 飲食などをした年月日
- 参加した相手の氏名または会社名と、自分との関係
- 参加した人数
- 金額と、お店の名前・所在地
手元の交際費1件の摘要がこの形になっているかは、経費の税務調査AIチェックで確かめられます。勘定科目・金額・摘要を入れると、調査で聞かれそうなことと、説明できる摘要の書き方を AI が返します(無料・1日3回まで)。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「令和6年度分 会社標本調査」第14表・第15表(令和8年3月)