税務調査でAIは何をしているのか?
2026年10月28日 / 出典は国税庁の公表資料(ページ下)
国税庁は、AIで「申告漏れの可能性が高い人」を点数にし、調査する相手を選ぶのに使っています。AIが帳簿の取引を1件ずつ見て追徴しているわけではありません。調査するかどうかを最後に決めるのは職員で、調査で「この支出は何のためか」と聞かれて答えるのは本人です。
AIが使われているところ
- 申告漏れのリスクを判定して点数にする予測モデルを作り、全国の国税局・税務署で使っています
- モデルに入れるのは、申告書・決算書の情報、法定調書などの資料情報、過去の調査の結果です
- 点数が高い人には深く調べる調査、それ以外で計算の誤りなどが疑われる人には文書での照会など、幅広く接触します
- 所得税の不正な還付や、法人の売上・経費でよくある不正の手口を見つけるモデルもあります
- 2026年9月の国税のシステム更改で、紙で管理していた情報もデータになり、モデルの精度を上げていくとしています
調べるかどうかを最後に決めるのは職員
国税庁の資料には、調査するかどうかと優先度は、予測モデルの結果に申告書や資料情報を合わせて「最終的には必ず職員が判断」すると書かれています。調査の対象がすべて予測モデルで選ばれているわけでもありません。生成AIは、職員の資料の整理や翻訳、法令の検索などに使い始める予定で、出力は職員が必ず確認するとしています。
数字で見る(所得税、令和6事務年度)
令和6事務年度は2024年7月〜2025年6月です。
| 令和6事務年度 | 前年 | |
|---|---|---|
| 調査などの件数(合計) | 73万6千件 | 60万5千件 |
| うち実地調査 | 4万7千件 | 4万8千件 |
| うち文書・電話・来署依頼での接触 | 68万9千件 | 55万8千件 |
| 実地調査1件あたりの追徴税額 | 241万円 | 224万円 |
| 調査などによる追徴税額の合計 | 1,431億円 | 1,398億円 |
増えたのは文書や電話での接触で、前年の約1.2倍です。実地調査の件数は前年とほぼ同じでした。実地調査では、約84%(39,178件)で申告漏れなどが見つかっています。どの数字も所得税の調査全体のもので、個人事業主だけの数字ではありません。
経費の記録で気をつけること
AIが選ぶのは「どこを調べるか」までです。選ばれたあと、実地調査でも文書での照会でも、個々の経費について「誰と、何のために使ったか」を聞かれます。答えの材料になるのは、摘要に書いた日付・相手・目的と、残しておいた領収書です。記録が空なら、AIがあってもなくても説明に困ります。
手元の経費が説明できる記録になっているかは、経費の税務調査AIチェックで1件ずつ確かめられます(無料・登録なし)。